山行記録にもどるホームにもどる



薬師の峰に登らない
地獄鎌尾根と西尾根(姫路市)



スポンサード リンク




平成20年11月22日(土)  メンバー 私だけ

前之庄バス停〜地獄鎌尾根〜十字峰〜西尾根〜前之庄バス停

山行概念図(2万5千分の1地形図:前之庄)

姫路市夢前町前之庄の北西、福崎町との境界に薬師の峰616.2mがある。私は、福崎町側から登るときは七種三山に敬意を表して七種薬師と呼び、夢前町側からは山頂の前之庄村が祀った薬師如来石仏を敬い薬師の峰と呼ぶことにしている。その夢前町側からの代表的なルートが、今日登ってきた地獄鎌尾根と西尾根コースで、岩尾根の厳しいが楽しい尾根登りがこれでもかというほど楽しめる。

これまでに地獄鎌尾根は1回半ほど歩いたことがあるが西尾根は初めてで、その中でもゴリラにそっくりなゴリラ岩が楽しみだ。


バス大好き

これまでに地獄鎌尾根・西尾根の山行記はたくさん報告されているが、そのほとんどは自家用車を利用したものだ。地球温暖化を防ぐため二酸化炭素の排出量を減ずるためには、無用なエネルギー消費を慎まなければならない。そのために産業界が省エネルギーに、どれほどのエネルギーを費やしているか知っているだろうか。

京都議定書の精神を理解し自然を愛し敬うハイカーなら、自分の楽しみのために往復に莫大な化石燃料を消費し、二酸化炭素を撒き散らす自家用車の利用など出来ないはずだ。

そこで登場するのは、私の愛してやまない神姫バスだ。姫路市を中心に兵庫県南西部に広大な路線網を持ち、ハイカーの友といっても過言ではない。さらに京都議定書の真髄を実践する『環境定期券制度(エコ定期)』も見逃すことが出来ない。

今回は前之庄バス停から歩き始めるが、姫路市中心部と姫路市夢前町を結ぶ幹線とあって、バスの運行本数は多く最低でも1時間に1本はある。平日ならもっと早い便もあるのだが、土日祝日は姫路駅前発7時40分の雪彦山行きが始発となり、料金は750円だ(ちなみに終点の雪彦山までは1,070円)。

8:25
ほぼ定刻に前之庄バス停に着いた雪彦山行きの神姫バスだが、なかなか発車しない。発車時刻調整ではなく、残り少なくなった乗客の一人が1万円札しか持っていないという緊急事態になってしまったみたいだ。

ドアを開けたまま発車しない雪彦山行きの神姫バス
そりゃ1万円札ではお釣りはないな

バス停から南に引き返し旧夢前町役場前から旧道へ入り、的場山宝積院の案内板に従って東へ曲がる。車で来た場合は夢前高校からの下り坂の先で、中国自動車道をくぐる前のY字路を右に入り、県道を渡って狭い旧道を行けば分かりやすいが、ここが一番分かりにくい。

8:41
明王寺川沿いの道を、的場山宝積院への道に入らずに進むと、左手にお堂と三枝草板碑群がある。はっきり言って、私にはただの石にしか見えないものだが、なにやら由緒が書かれた標柱が立っている。でも文字が薄れかすれてしまい、読めないのが残念だ。

標柱の文字はかすれて読み取れず、姫路市HPより

三枝草板碑群(さえぐさいたびぐん)

三枝草の板坂峠にいたる道の東側にある板碑のうち、向かって左2基は板碑の特徴がよくうかがえる。2基のうち向かって右側の板碑は碑の高さ1.48m、蓮台の上に高さ36cmの地蔵像を刻み、碑の上部は三角形をしている。板碑の厚さが25cmあり、像の下に「一見仏身示除衆罪敬白至徳三年十二月」と刻まれている。夢前町内で年号名の刻まれた石造物では最も早期のものである。

三枝草板碑群
右奥の建物は宝積院

このまま進むと、車では越えられない板坂峠へと登ってしまうので左に曲がる。車で来た場合でも宝積院前の狭い道を通るよりも、この方がよいかもしれない。

なお昔々は、ここから板坂越えの道が、西国三十三箇所二十七番札所書寫山圓教寺から二十八札所成相山成相寺までの長い遍路道の一部だった時代があり、石の道標も残っている。

8:55
行く手にかわいらしい絵が描かれた建物が現われた。もうすでに大分前から香ってきていたのだが、その香りの元はここのニワトリさんと奥の牛さんに由来するもので、季節そして風向きによっては尾根を歩いていても感じることが出来る。

最初はニワトリさんの村上農場

8:59
気温のためか、香り攻撃は思いのほか穏やかで受けたダメージは少なかった。次は牛さんの村田牧場で、舗装道路をそのまま行っても行けるが、電柱に←薬師の案内板が付けられた、左の地道の方へ入った方が牧場の牛舎の間を通り抜けることもなく、すんなりと登山口へと行ける。

ここで左の地道へ入る
見えているのは村田牧場のものだ

9:09
結局は牛舎の前を行くことになるが、この道は牧場の中を通る公道のような気がする。牛さんたちは丁度朝ごはんを食べているところで、私に熱い視線を投げかけるお嬢さんはいなかった。

村田牧場は牛さんが一杯

9:13
乗用車でもこの明王池手前までは容易に入ることができ、無理をすればこの橋を渡って堰堤まで乗り付けられそうに思う。でも私は、タイヤに牛糞が付くのと香りが移りそうで怖く、いつも牧場の手前までしか車を入れないのでよく分からない。

明王池の堰堤を渡る

明王池の波一つない水面に西尾根が映り素晴らしい風景が広がっている。但し背後からの香り攻撃は、写真に撮ることもHP上に再現することも出来ないので分からないだろうが、実際は穏やかな気持ちで見ることは叶わない。

明王池に映るのは
西尾根かな

写真を撮っていると軽四トラックが堰堤に乗り入れてきて、下り立ったのはオレンジ色の帽子を被りオレンジ色のベストを着たハンターさんだった。これで堰堤まで軽四なら乗り入れることが出来ることが判明したが、ハンターさんは猟犬とはぐれてしまい探している様子。池の向う岸から吼え声が聞こえたことを伝えたが、地獄鎌尾根を登っている最中にも猟犬の鳴き声が聞こえていて、果たし二人は再会の熱い抱擁を交わすことが出来たのだろうか。


地獄鎌尾根を目指すぞ

9:26
二人して猟犬の鳴き声が聞こえないかとしばらく堰堤にいたが、遠くの方から聞こえてくるものの戻ってくる様子はない。感動的な再会を見たがったが、山登りを始めることにする。

堰堤の東端が尾根への取り付きなのだが、写真ではそれらしく見えない。実際に見ても、始めてきた人はここから登れるのかなと疑いの眼差しを向けるに違いない。でも大丈夫。注意深く観察すれば↑地獄鎌尾根の案内が枝葉に隠されているのを見出し、これが登山道かいなと思うような踏み跡を見つけることが出来るだろう。

堰堤を渡りきると地獄鎌尾根への取付が

注意深く鋭い観察眼を持つ人なら、今日の写真の私がいやに小さく写っていることにもう気付いているだろう。これまでは到達距離5mのキヤノン純正赤外線リモートコントローラーRC-5を使用してきたが、今日からはなんと4倍の20mの到達距離を誇るベルボンデジタル一眼レフカメラ用リモコンTWIN1 R3にグレードアップしたのだ。

その成果が、私の姿を小さくする以外に役立つのかは、これからの研究課題だ。

9:30
尾根の一番端からゆったりと登ればいいのに、尾根を目指して一気に100m以上も登らなくてはならない。それも私の大好物の丸太階段やプラ階段で整備された急登なら我慢も出来るが、通り抜けられそうな木々の隙間をマーキングしただけの非常にワイルドでストロングなルートだ。木々につかまり、足りないところは草を束にしてつかみ登っていく。

ひど過ぎる、最悪な急登だ

9:55
自分撮りもままならない急登が30分ほど続いたが、最後は緩やかになって尾根に到着。

そこにはトラロープが張られ←薬師←地獄鎌尾根の案内板があり、ここから下の尾根には踏み跡はないように見えた。

ようやく尾根に乗ったぞ

9:58
尾根にはコシダが生えているものの、尾根に辿りつくまでの地獄のような登りから比べたら天国のような尾根道だ。

うん、いい道だ

10:01
うまい具合に木々が途切れているところから、播磨富士とも呼ばれる明神山の優美な姿と、西尾根のゴリラ岩が見える。確かにゴリラの横顔そのものだが、本当のゴリラの横顔がだんなだったか思い出そうとするも、このゴリラ岩の印象が強すぎてだめだ。

西尾根のゴリラ岩の先に明神山が

10:07
快適な道がそうそう続くはずはない。鬱蒼と茂ったシダを掻き分けジュラシックパークの世界をいくような………いや、両側から茂ったシダが道を隠しているだけで、通り抜けるにはなんら問題はない。ただシダの胞子が舞い上がるのがいやだが。

自分撮りをして遊んでいると、三度目の地獄鎌尾根で初めてハイカーに出会ってしまった。いや追い越された。こんな所を歩くなんて、なんと物好きな人なんだろうと思った。

シダシダ道だ、でも歩くのは問題なし

10:12
シダシダを抜けるとまた快適な道になる。緩やかに登り下りする尾根は、この先の楽しい岩場がなくても十分に楽しむことができ、無粋な植林は現われない。

こんな快適な素敵な道もある

10:14
葉を落とした木々の向うには、色づく木々が秋らしい風景を醸しだしている。でも、枯れることの寂しさが我が身のことのように思え、紅葉はどうしても好きになれない。私が青春の一時を過ごした北海道で見た、生命の息吹を感じさせる新緑が忘れることが出来ない。

色付いた、そして葉を落とした木々

10:21
「あれ、地獄鎌尾根はまだかいな」、またまたシダの道に戻ってしまった。神様にササ藪とシダ藪のどちらかを選べと言われたら、これまでの経験から迷うことなく引き返す。でも、ここはしっかりとした道があるので、スイスイと歩ける。

またシダの道だ

10:22
シダのジャングルだ。大きさが違うだけで、どれも同じように見えるシダにもいろいろな種類があり、その道のマニアやコレクターともなると簡単に同定できるのかもしれない。でも私は、これをオオシダとしか言いようがない。

よくぞここに道を通したものだ


地獄鎌尾根の核心部を行く

10:30
いよいよ地獄鎌尾根の核心部の始まりだ。左右とも45度ほどに切れ落ち、一歩足を踏み外せば奈落の底(左はすぐ止まりそうだが)へ一直線、地獄へ行くか天国へ行くかはこれまでの生き方次第。

写真を撮っていたのか、休憩していたのか先行者の背中がちらと見え、私もその後を追う。

いきなり地獄鎌尾根の核心部
どちら側に踏み外しても天国行きだ

こんな面白いところを1回で済ますには惜しすぎる。そこでもう1回は前から自分撮り、行きと帰りで合計5回も堪能させてもらった。

狭いながらも踏み幅は十分あり、グリップもよく、私でも歩けたので誰でもOKと思う。ただし、高所恐怖症気味の人には試練かもしれん。

もう一回、今度は前から
踏み幅は十分にある

10:41
行く手に尾根を断ち切る岩壁が見えてきた。初めてなら、あの壁を登るのだろうか、巻くのだろうかと期待に打ち震えるところだろうが、しかしながら経験者の私はその激情をもう味わえないのが残念でならない。

次はあの岩壁を登るぞ

10:44
大イベントの前にも、楽しい岩場歩きが待っている。ここ数年入り浸っている六甲山で、これほどの美しい岩場風景に出会ったら感動ものだが、ここ地獄鎌尾根では前座か中継ぎにしか過ぎない。

楽しい岩場が続く

10:49
楽しいイベントの前には、またまたシダ行く手を遮ろうとしている。こういう歩き易いシダの道は大好きだが、胞子が飛ぶ時期なのか、行ったり来たりすると埃が舞い上がり、そのうちに体からシダが生えてこないかと心配になるほどだ。

ままたまたシダの道

10:56
明るい雑木林とシダのコラボレーションが目を楽しませ、足を楽しませ、心を楽しませてくれる。

ルートは明確で外しようがない

11:03
いよいよ大岩壁登りだ。遠くから見ると絶壁に見えるが、下まで来ると結構緩やかに見えてしまう。おまけに岩の細かい節理のためものすごいグリップがあり、どんなルート取りをしても誰にでも登れてしまう。

二番目の核心部の岩壁
でもグリップ抜群で大丈夫

岩壁下段部分は菱形の節理が発達している。溶岩が冷え固まるときに出来ると聞くが、どれくらい昔に出来たのだろうか。

下段は菱形に割れる石

11:14
この岩壁は三段構えで、中段は下段よりも少し急になっていて、手も少々使うが本格的な三点確保の必要性はない。振り返ると色づいた尾根が美しく、雲の陰が西から東へと移っていくのが写真から分かる。

中段は手も使うがヒョイヒョイと登れる

中段は板状の節理で、何度かに分かれてこの尾根の原型が形成されたのが分かるが、原始七種山は火山だったのだろうか。

中段は薄く割れる石だ

岩壁の上段部分は節理のない丸っこい岩肌で、おまけに急で私には登れそうもなく、左端の草付き近くを攀じ登った。

11:26
地獄鎌尾根は名前がおどろおどろしいだけで、実際に登ってみるとなんてこともないという人が大多数だろう。この尾根の東側は100m以上の断崖絶壁になっていて、そこを指して地獄鎌尾根と呼び始めたものと理解しているが、残念ながら尾根歩きではその断崖絶壁を覗き込むことさえ出来ない。

命がけの一般ルートなどあるはずはなく、ある程度の安全が担保されているからこそ、私でも歩き登ることが出来る。本当に地獄鎌尾根を味わいたかったら尾根東側の絶壁を登攀すればよいのだろうが、私はこの天国のような尾根歩きで十分満足できる。

楽しい楽しい岩場歩きが続く

11:29
板状節理が波打っている岩だ。固まるときに波打ったのか、はたまた強大な力が岩に加わって捻れたのか、ともあれこんなのを庭石にしてみたい。

誰が捻ったのか波打っているな

11:33
手掛かり足掛り十分でクライマーには物足りなそうな岩壁越しに、薬師の峰が見える。すぐそこに見えているテラスでお昼ごはんを食べたら、コンビニ弁当もさぞか美味になるだろうが、命は惜しい。

地獄鎌尾根の由来か、絶壁と薬師峰

11:38
二番目の岩壁は中央突破は出来ず左側から攻める。疲れてきたこともあるが、何度も登り下りしたくないほどの嫌らしさで、自分撮りはしていない。途中からは明神山がよく見えいているが、この写真のための余分な数メートルのトラバースがやっとだった。

二番目の岩壁からは見た明神山

11:47
嫌らしい岩壁を登りきると、その先には展望のよさそうな岩場が待っている。左下を巻く道もあるように見えるが、可能な限り尾根を忠実に辿るのが巻き道を行くよりも楽しいしい、安全でもあるのがこの尾根の特徴だ。

下の写真の私の立っている向こう側は、覗き込むのも恐ろしいほどに切れ落ちていて、本当はここでシェーをしたかったのだが片足立ちなど出来はしない。

何をやっているのか
すぐ横は切れ落ちた絶壁だ

12:02
地獄鎌尾根核心部の最後は、行く手をほとんど垂直な岩に遮られていて、その岩の間に生えている木にマーキングが巻かれている。「ここを登るんかいな」と、ロープでも下がっていないかと捜すがない。雪彦山や明神山には腐るほどたくさんのロープが張り巡らされているのに、この地獄鎌尾根や下山に使う西尾根には手助けしてくれるロープは全くない。仕方がないので三点確保を意識しつつ慎重に攀じ登る。

出口が一番の難所かも知れない


十字峰から西尾根へ

12:04
岩場を抜けると、ベニヤ板の切れ端が木々の間に張られたトラロープに下がっていて、何かの案内板の成れの果てのように見受けられる。腐ることのないトラロープがアカマツの幹に食い込み痛々しい。

地獄鎌尾根やこの西尾根、そして七種三山の各所で見られる木々の間に張り渡したトラロープのことだが、縛り括られている木々のことは何も考えなかったのだろうか。今年のイグノーベル賞の平和賞に受賞した、「非ヒト動物に対する生命工学に関する連邦倫理委員会」(スイス)の『植物にも尊厳がある』という考えかたに全面的に賛成する私には、幹の成長に伴いトラロープが食い込んでいくのを見るのがやるせなくせつない。

12:07
十字峰までは、常緑樹主体の暗い尾根で展望もなく面白くない。計画通りだが、自分撮りに時間を時間をかけすぎてしまったので、薬師の峰に寄らずに十字峰から西尾根へ直行する。

もうすぐ十字峰かな

12:09
兵庫登山会の十字峰案内板があり、右に下ると薬師の峰、左に登ると十字峰ピークから七種山への縦走コースと西尾根に分かれる。このように四方向に尾根を持つので十字峰と名付けられたことは、ここに書くまでもないことだ。

ここも十字峰だが、見ての通り左手のほうが高いな

12:14
正体不明な愛好会が残した十字峰案内板が下がるピークだ。←西尾根の案内板にマジック書きで「村田牧場へ3km90分」と書き込まれている。西尾根の下山取付はこの案内もあるし、地形的にも明確なので地形図・コンパスを取り出す必はない。

どこかでお昼ご飯を食べて、あれもしてで倍はかかるだろうから、宝積院まで西尾根を辿る計画はこの時点で諦め、香り高い明王池を下山地にすることに計画を変更する。

西尾根下山口取付=十字峰頂上

12:24
十字峰からの急な荒れた下りには明確な切り開きはなく、踏み跡も薄い。どうやって下ろうかと高みに登るも木々に遮られて見通しは効かない。

と、二回見かけたハイカーさんが追いついてきて、三度目の出会い。高みから間違った道をアドバイスしてしまったが、「松本さんですか」と声をかけられた。日野家の山歩きの日野さんだった。

昨夜、偶然にも日野さんの「カニワ渓谷からの雪彦周遊」を読んでいて、私も歩いたことがあり興味深く読させてもらったが、途中から自分撮りも交えていて、もしかすると播州野歩記を見ているのかなと思った。

日野さんとの本日三度目の遭遇

でも、なんで山を歩いていると頻繁に声をかけられるのか。これまでの大勢の方から声をかけられ、HPを作成している方々は日野さんを含めて8人で、逆に私からは一度もない。

平成15年12月23日凡太郎の山歩き 凡太郎さん
平成19年 3月21日たかが六甲…されど六甲! オーパスさん
平成20年 1月 3日あっちに感動こっちにも感動 ナツオ・ゆうたんさん
平成20年 1月6日〜WELKAME〜 カメ巫女さん
平成20年 2月 2日神戸背山の道 ジュンさん
平成20年 9月28日ねえ〜ちゃ〜ぱいろっと! 大将さん
平成20年11月2日摩耶山さん歩 てるみさん
平成20年11月22日日野家の山歩き 日野さん

そりゃ、ほとんどの方々は顔出しをしていないのでこちらからは分かりようもないが、今年はすでに6人にもなっている。ちょっと私が顔を出し過ぎているのか、白髪の目立つ短髪に鉢巻を巻き眼鏡かけ、常に三脚を持ち歩く不審なハイカーがいたら、100%間違いなく私だ。なんか特徴いっぱいで分かりやすいな。

12:25
私も日野さんの後を追って下山するも、追いつくことはなかった。

下り始めは少し急かな

12:30
緩やかになってくると界の切り開きは明瞭なものとなってきた。下草は少なく、快適に歩ける尾根だが、見通しはなく周囲の様子は分からない。岩場はなく、このまま何のイベントもなしにゴリラ岩まで下るのだろうか。

ふーん、西尾根には岩場はないんだ

12:36
相変わらずの快適な道だが常緑樹が多く、詰まらない。

こんな風な道が続くのかな

12:41
やはり西尾根にも岩場がある。節理はないが表面のざらつきは十分でフリクションは問題ないレベルだ。

でもないか、やっぱり岩場はあるんだ

12:44
地獄鎌尾根と西尾根がともに南へ平行して延びている。ここは西尾根の中でも北尾根に相当する部分で、ここから西へ進むと尾根が南北に分かれるはずだ。

並行する左:地獄鎌尾根と、右:西尾根
では私のいるのは北尾根か?

12:48
尾根が左右に分かれるポイントだ。南側には明確な踏み跡があるが、北側には見つけることは出来なかった。なお、マーキングはちらほらと付けられているだけで目障りまではいかない。

ここで左へ90度曲がり西尾根に入る

12:52
左手の尾根にすごいスラブが見える。傾斜は45度ほどで100m以上はあると思う。地獄鎌尾根と同じ岩なら登れそうだが、プロテクションを要する山岳登攀の技術を必要とする世界なのだろう。

すごいスラブだ、45度ぐらいはあるな

12:55
西尾根は方向を南に転じてからは、岩場が点在し面白くなってきた。ただし歩き慣れそして疲れた頃なので一歩一歩を慎重に、傾斜が緩かろうが危ないなと感じたら後ろ向きに三点確保で下りていく。

岩場が連続し、節理はないが
グリップは悪くない

13:01
隣の明神山にも岩場がたくさんあるが、どこかの感受性が乏しく自然を支配下に置きたがっている御仁が、ペイントスプレーで岩場に直接ルートを書き込んでしまっている。でもこの尾根や地獄鎌尾根ではそんなことはなく、全て自分で決めなければならない。また固定ロープも補助ロープも全くなく、このままであって欲しいと願う。

こんな岩場が明神山にあったら
絶対ロープが下がっているな

13:08
下の写真、登っているのではなく下っているところだ。三脚を置いているのは平地なので、高度差はあまりない岩場だが手掛かり足掛りを探しつつ慎重に下りている。

後ろ向きになって三点確保で下りる

13:14
地獄鎌尾根はもちろん、この尾根も登りに使った方が数倍は面白いと思う。そうすると下山ルートの選択が問題だが、私は薬師の峰から板坂峠への長いが緩やかな稜線歩きを薦めたい。単調で展望もあまりないが山歩きは十二分に堪能できるだろう。

この尾根は登りに使った方が面白そう
でも地獄鎌尾根も同じだな

13:29
尾根の中心を忠実に辿ってきたが、踏み跡が怪しくなりマーキングは西側を巻けと指示をしている。この巻き道を過ぎると岩場は少なくなり、残るアトラクションはゴリラ岩だけだ。

ほんの一部だけ、西側を巻く

13:32
西尾根で始めてのシダの海だが、当然通行は問題ない。ゴリラ岩まではほとんどがこんな感じで、先行者がいるせいか進路は分かりやすい。下の写真で右側の木にマーキングがあり、カメラと私の間にルートがあるはずだ。写真では私でも分かり難いが、実際に行ってみれば、誰でも容易にルートを見出すことが出来る。

なんじゃやこりゃ、でも通行は問題なし

13:40
今日は登らなかったが薬師の峰が大分遠くなってきた。これで七種三山のほとんどのルートを歩いたことになるが、その全てが出発点に戻ってくる周回ルートばかりだ。次からは行ったきりの横断ルートを考えてみよう。

右手奥に薬師峰が見えている

13:44
今回の工程中の唯一の三角点、335.0m四等三角点標石(点名:岩ケ谷)がある。かつては共同視聴用アンテナがあったらしいが今はない。

三角点標石だ

13:50
さらにシダの道はいつ果てるともなく続く。濃いところ薄いところがあり、ルートが不鮮明な部分もあるが歩きやすいところを行けば尾根を外すことはない。

またまたシダの道、もう飽きてきたぞ


ゴリラ岩、そして明王池へ下山

13:56
いきなり行く手が開け何もなくなった。そこにはシダの道を走り抜けてきたトレイルランナーが、勢い誤って転落しないようにトラロープが張られている。いや何かの案内板が吊るされていたのかな。

ようやく、念願のゴリラ岩にたどり着いたようだ。

ゴリラ岩の額の上

下を覗きこむとゴリラの上顎と、ちょこんと飛び出した鼻が見える。でも、ようやくやって来たのに、間近に見るとゴリラに見えないのが惜しい。

下を覗くとゴリラの鼻が

そして視線を上げると、宝積院までの残りの尾根が見えてくる。歩き通す積もりだったが今日は勘弁してやろう。ならず者の捨て台詞ではないが「覚えてやがれ」。

その先には西尾根がさらに続く

ゴリラ岩の額の上から岩場に降りるには、突端から少し引き返すと東側、明王池側にマーキングが付けられ、一部がほぼ垂直な巻き道へと誘っている。元々はもっと通り易かったのだろうが、倒木のため巻き道が断裂し酷い事になっている。ここだけは補助ロープが必要ではないかと思う。

14:03
巻き道はゴリラの唇の端へと続いていて、上顎へは急な岩場を登らなくてはならないが、結構簡単に登れた。上顎から顔面に登ると、そこには村中安全と刻まれた行者像が祀られていた。引っ張り出したら裏側に布施者の名前が刻まれているかもしれないが、手を伸ばすには少々怖い場所で諦めた。

ゴリラ岩に安置された行者像

全体からしたら小さく鼻というよりはイボみたいだが、上に乗ってみた。シェーをしようとしたが、丸い岩の上で、風も少々あり、落ちると痛そうなので勘弁してあげた。

ゴリラの鼻の上でシェーをしよとしたが
風が足場が

14:35
鼻の陰で西風を避けながら、遅くなったお昼ご飯を食べ終えて、下山再開。この角度だとゴリラに見えない。

ゴリラ岩の上唇を下る

14:38
尾根は相変わらずのシダの道だ。これが六甲山ならミヤコザサの道になるのだが、山域が違うとこうも植生が違うのかと感心してしまう。

このシダの道は途切れることがなかった

14:40
トラロープが張られ、明王池への下山ルートに誘導しているが、吊るされていた案内板は朽ち果てている。シダの中には、さらに尾根を宝積院へと下る明確な踏み跡を見ることが出来る。

尾根にはさらに踏み跡が続くが
ここが明王池への下り口だ

14:45
明王池へ下るルートも、明王池から地獄鎌尾根に登るルートに負けず劣らずの凄さだ。シダの茂る雑木林の中をマーキングを頼りに下っていくが、だれが設定したルートなのか、全く整備らしい整備はなされてなく、道というよりはただの林に過ぎない。

ひどいルートだな

14:56
マーキングはあるが踏み跡は拡散し、みな適当に下っているようだ。時々水平な獣道か杣道跡を横切るが、それらに釣られて逸れていってしまうのだろうか。

マーキングを懸命に辿る

15:09
マーキングはシダヤブを突っ切れと指示しているが、左右には歩き易そうな水平道が延びている。で、シダヤブを抜けるとマーキングはあるが予想通り踏み跡は全くない。これではマーキングを付けた人もがっかりだな。

シダヤブを通り抜けるとマーキングはあるが
踏み跡はない

15:14
ほぼ95%までマーキングを辿り、明王池堰堤のすぐ横に下山。倒れ掛かっている木に右向きの西尾根→の案内板があるためか、踏み跡も右に向かって登っている。でも、もしかすると右に登ってもマーキングが続いているかも知れず、単一のルートに収束してないかもしれないなと思う。

出発地点に無事帰還

車で来ていれば楽だったろうが、前之庄バス停まで15時56分発のバスに間に合いように急ぎ足、そして駆け足を交えて帰途についた。



スポンサード リンク



山行記録にもどるホームにもどる本ページのトップ